4SQ アンテナの製作(7MHz用 完成!!)
最終:2017.11.25
昨今のHigh bandは、SSNが低下してDXはほとんど聞こえない日々で、運用の中心をLow-Band(3.5,7,10MHz)に
シフトしました。ただ、アンテナが貧弱であまり聞こえない。
現状の 7と10MHzは、地上高17mのSteppIR-4Eleオプションの トロンボーンDPで7MHzの実効長は約λ/4です。
3.5MHzは給電点15mのIVで、ASIA,PACIFICと国内専用?。 うーーん、Low-Bandのビームアンテナが欲しい―――。
1年後のブーベ島(3Y0Z)のDX-Peditionも考慮し4SQを作る事にし、まず7MHzから取り組むことにした。
私も3Y0ZのJA支援チームのメンバーの一人なので、QSO=0の坊主では格好がつかないもんね(^^)
計画は、7MHzで実験してデーター取得、10MHzも4SQを、3.5~3.8MHzはエンドファイアーです。1.8は、聞こえない・
飛ばないSloper(^^)
設計した耐電力は、電波法・設備規則の空中線電力許容偏差の上限+20%内で、1KW免許=1.2KWです。
ちなみに、私が使っているリニアアンプSPEの1.3K-FAにピッタリです。
[2017.11.25]7MHz用4SQを使い出して1月余り経ち結果が非常に良いので10MHz用4SQ製作開始
10MHz用4SQは、7MHz用の定数変更だけで回路変更なし。10MHz用4SQはこちら
1.4分配器の製作
多くの方は、製品が通販で買えることもありQ-HYBを使っているようですが、これは無線のproの私が見ても、
とても正常に動作させることは極めて困難と思いました。皆さん、適当なところで妥協しているのでしょう。
幸いにも、無線技術の師と仰ぐJA6ARJ/和田守さんから送ってもらった4SQの資料が保存してあったので読み返してみた。
使われている4Port-HYBは、「トロイダル・コア活用百科」にも書かれているもので、うん、納得である。
4SQアンテナを作るなら、Q-HYBは後悔するからやめて、この記事の方法にするべきです。
(1) 7MHz用4分配器(4Port-HYB)の製作 使用部品は私のオリジナルです
書かれているコアのFB-43-1020は国内で入手できそうにないので、AmidonのHPで注文しようとした。
FB-43-1020は、1個2USDだが20個注文した場合に送料が60USD程度かかり物より送料が高いのであきらめ、手持で
作ることにした。
作ったのがこれです。1組の通過電力は、1.2KWの1/4=300Wで問題なく使える。
4分配用の伝送線路トランス4個
27Ωの反射波吸収用抵抗4組
組み上がった4分配器
①反射波の吸収用抵抗は、計算値28Ωの近くにするのに270Ω5Wの金属皮膜抵抗を10個並列が4組です。27Ω50Wです。
[注意]安くするために、巻き線抵抗は絶対にダメですよ。
②4分配用の伝送線路トランスは、FT140-43に3.5D-QEFVを5Turn+おまけで手元にあったビーズ(2643540302)を両端に
追加。
インダクタンスは実測で、22.9/23.0/23.1/24.2uH、7MHzでのインピーダンスが1007Ωです。同軸(50Ω)の20倍で
十分ですね。
(阻止インピーダンスは、50Ωの5倍=250Ω以上が必要です。本当は20倍も必要ない!)
もちろん、おまけで成型用に付けた43材のビーズ(2643540302)は、1個が1uHでなくても問題ないです。
同軸ケーブルは、3.5D-QEFVを使いました。この同軸はフジクラ製で耐熱の低損失同軸です。
コモンモード・フィルターやバランにも使った実績があり、1KW程度では銅損・鉄損とも全く問題にならないです。
耐熱を考慮して、細いテフロン同軸を使う人(テフロン同軸信者)をよく見かけますが 3.5D-QEFVが損失、耐熱とも
細いテフロン同軸や5D-2V等より有利です。
よく見るRG-316の損失は、10MHzで180dB/Kmもあります。1mで0.18dB!!。
2.90度、180度移相器の製作
4SQアンテナは、4本のアンテナエレメントの給電に0度、-90度が2本、-180度の移相器が必要です。
-90度の移相器は同軸ケーブル(λ/4電気長)2本で対応します。-180度の移相器はフェライトコアで作る事にしました。
-90度の移相器に使う2本の同軸ケーブルはフジクラ製5D-FB-LITEを使い波長短縮率80%なので7.1MHz時は、
0.8×λ/4=8.45mです。
-180度の移相器は、FT140-43がなかったので、FT114-43を4個のスタックに3.5D-QEFVを5Turn+おまけで手元にあった
ビーズ(2643540302)を両端に追加しました。
インダクタンスは実測32.2uHでインピーダンスは、7MHzで1416Ω、十分です。3個でも良かったですね。
-180度の移相器は、同軸ケーブル(λ/2電気長=約15mの邪魔者)でもOK可能ですが場所を取らないのと極力安くするのに
コアを使用した。
3.インピーダンス変換器(50Ω⇒12.5Ω)
(これは、お勧めできません。4項のLCマッチングがお勧めです。)
送受信機に接続する、4分配器(4Port-HYB)の出入力インピーダンスは50Ωの1/4=12.5Ωです。これを4倍の50Ωに変換します。
FT240-43(ヤフオク購入のモドキかも?)を2個スタックにして、保護用にテフロンテープを巻いた上に2mmのホルマル線2本を
4Turnです。
実測25.3uH、7MHzのインピーダンス1112Ωで十分ですね。保護用のテフロンテープは、水道の蛇口を取り付ける時に巻く
白い薄いテープで、ホームセンターに100円位で売っているものです。
JA6ARJ/和田守さんは、この部分についてLCマッチングを推奨されています。高圧のバリコンが手持ちになかったのと
簡便性からフェライトコアでやって見ることにしました。
結果は、期待した結果が得られませんでした。LCマッチングに変更します。
箱に入れて組み上げ
使った箱は、日東(NiTO)のOPK14-33Aです。少し大きすぎたかも??
この状態で4分配出力に51Ωの抵抗を付けて、送信端インピーダンスを測って見ました。
(1) インピーダンス変換器(50Ω⇒12.5Ω)出力に51Ωの抵抗を4個並列接続。3.5~10MHzまでがSWR=1.7 意外と悪いので
4tを3tに減らすとSWR=1.2 配線のインダクタンス分(+j成分)も影響しています。うーーーん、こんなものかな。
(2) 4分配器も追加して測定
3.6MHzがSWR=1.36(56.7+J15.2)、7.1MHzがSWR=1.7(77.5+J22)、10.1MHzがSWR=2.2(108+J7.0)うーーん、
思ったよりはるかに悪いです。
バラックなので、配線長が長くて+J分がかなり出ています。キチンと配線すればいくらかは良くなるでしょう。
(3) ここまでやって見て
JA6ARJ/和田守さんが書かれていた「LCマッチングが調整が楽だから推奨」が理解できました。
少々ラフに作ってもLCマッチング部分で虚数部分がキャンセルできるので、つじつま合わせができますね。
1KV耐圧のバリコンと電力用チタコンを探してみます。
4.LCマッチング
2分配と4分配のインピーダンスマッチングは、送信機側にコンデンサーを並列、コイルは回路に直列に入れる。計算値は以下です。
(1) 2分配 分配器の25Ωを50Ωに変換する
1.85MHz:Cp=1721PF Ls=2151nH 3.6MHz:Cp=884PF Ls=1105nH
7.1MHz:Cp=448PF Ls=560nH 10.1MHz:Cp=315PF Ls=884nH
14.2MHz:Cp=224 Ls=280nH 18.12MHz:Cp=176 Ls=220nH
21.2MHz:Cp=150 Ls=188nH 24.9MHz:Cp=128 Ls=160nH 29.0MHz:Cp=110 Ls=137nH
(2) 4分配 分配器の12.5Ωを50Ωに変換する
1.85MHz:Cp=2980PF Ls=1863nH 3.6MHz:Cp=1531PF Ls=957nH
7.1MHz:Cp=777PF Ls=485nH 10.1MHz:Cp=546PF Ls=341nH
14.2MHz:Cp=380 Ls=238nH 18.12MHz:Cp=304PF Ls=190nH
21.2MHz:Cp=260 Ls=163nH 24.9MHz:Cp=212 Ls=138nH 29.0MHz:Cp=190 Ls=119nH
コイルは空芯で簡単に作れますが、コンデンサーは高耐圧の円板チタコン+200PF程度のバリコン使用ですね。
実際は、接続するアンテナ側が純抵抗12.5Ωまたは25Ωにはならないので、補正分が加わり、若干の調整が必要です。
LCマッチングの検証結果は、こちら 非常に特性が良いです、素晴らしい!!
完成です。足場単管にホースバンド(BREEZE製 H-30032 幅14.4mm)で取り付けます。
5.進捗状況
[2017.02.09] 田舎で元寸50mmΦの竹8本を切ってきて、油抜きをしてきました。30,40mの垂直エレメント用です。
[2017.02.19] ヤフオクで、バリコン(VC)と高圧セラミック(チタン?)コンデンサを入手したので
4分配とマッチング部分の検証が終わりました。想定していた結果が得られました。満足(^o^)
[2017.04.22] やっと時間が取れたので、心臓部を組み上げました(上記の写真)。
5月連休にエレメント4本を作って組み上げる予定です。
[2017.09.04] やっと4本のエレメントの設置が終わりました。4SQアンテナ設置状況はこちら
最後に、方位切換BOXからシャックまでの線の接続が残りました。
現状、西方向の固定ビームです。TRXに接続して使った感じでは、サイドと
バックの減衰はかなり大きい。(F/SとF/B比はかなり取れているようです)
[2017.10.12] 完成しました(^o^)
方位切換用電線(シャックから上記マッチングボックス間)は、屋外用のLANケーブルを
使いました。 設置場所の写真(10MHzの実験中で、10MHzのエレメントも写っています)
雨降りだったので、シャック側でSWRを測定した結果は次です。
4方向とも帯域内(7~7.2MHz)の最悪SWRは、1.13に収まっています。ちなみに、エレメント4本の内の1本を
倒すとSWRが1.7ぐらいになりました。
4方向のSWRをRigExpert-AA30で測定しました。リニア(SPE1.3K-FA)の表示はBand内SWR1.1以下です。
北方向の帯域内(7.0~7.2MHz)SWR
東方向のSWR
南方向の SWR
西方向のSWR
7.使ってみてどうか???
[2017.10.12] バックの減衰量(F/B)はかなり取れいるようです。受信時のS5がBackでは受信できない。
SteppIRのトロンボーン・ダイポールと比較した結果、4sqはすごく良い感じです。
加わる電力でインピーダンスの変化もなしです。
Drive-Powerを1W~1KWまで変化してみましたが、全てSWR1.1以下で安定しています。
700W程度の出力で長時間運用後に反射波吸収用終端抵抗を指で触ってみましたが
温度上昇は感じませんでした。この事から
電力を加えたときの各エレメントのインピーダンスは、50Ωの近くにいるようです。
[2017.10.13] 自宅に戻ったので、リモートで朝7時過ぎから1時間ほど試してみました。
DPでは、JT-65,9で何とかQSOできていたEU,SAがFT8で楽にQSOできました。
作ってみたのが正解でした。加わる電力でインピーダンスの変化もなしです。
今秋と冬場の40mが楽しみ(^o^)。
[2017.12.10] 約2カ月使った結果、期待した成果が得られ満足(^o^)。
心配した27Ωの反射波吸収用抵抗も変化なく耐電力は問題なしです。
エレメントの動的インピーダンス変化でSWR=2になっても300w×10%で30wの反射。
270Ω5Wを10個並列の27Ω50W×4個で、1KW運用は全く問題なしでした。
正確な数値は未計数ですが2カ月でEUとNA,SA中心にFT8で約500QSO、AFが
10QSO、AS,OCが30QSO位です。AFは、西海岸も含まれています。
この間のDXCC-Workedは、50Entityぐらいです。約70から120に急増!!
南米の7MHz、Long-passを初めて経験しました。瞬時の方位切換はBestです。
8.全体回路図
JA6ARJ/和田守さんから頂いた接続図は次のPDF 私の場合は、ビーム方向が東西南北の切替です。
[追記]
JA6ARJ/和田守さん 私の仕事人生約40年で一番影響を受けた先輩です
私が20歳代半ばにお会いしたのが最初で、2級無線技術士の予備試験受験のために熊本で4カ月間、教えを受けました。
和田守さんは非常に探究性の強い方で、一番影響を受けたのは、物事を見る時の重要性とポイントのとらえ方です。
おかげで、2技、1技の全科目を一発で合格できました。 その後、職場で勤務終了後に職場の同僚を集めて勉強会、
さらには通信教育?で多くの方に教え、また、30才過ぎには、私自身も社内教育機関の教官をやらされて全国の
(200人近い?)1,2技有資格者を育てることができました。皆さんその後大活躍(^^)。
私自身も仕事で国内から国際に至るまで情報通信技術で係わり、皆さんのお役に立てたと思っています。
私の仕事人生で、和田守さんにお会いしていなかったら、ずいぶん違った人生になったと思っています。
昨年、68才でトライした、USA-FCCのアマチュア無線の国家試験3資格を全て1発で取得できたのも元をたどれば、
和田守さんにお会いした結果と思います。Extra,Call-Signは、Vanityで「KU3WA」クワさんです。
60才定年でリタイア後の、2010年早春に宮崎のお宅に訪問し、持って行った広島の牡蠣を焼いて一杯飲みながら談笑、
泊めていただいたのも 楽しい思い出として残りました。