最終:2021.2.10
[2018.4]入手したExpertのSDRトランシーバーSunSDR2proに10MHz基準信号入力があるので、
どうせなら周波数の精度を上げようと試作することにした。
[2020.1.2] SunSDR2DXのUserから「FT8/FT4で周波数ドリフトがひどい」と頒布依頼がありました。
周波数安定度が0.5ppmでは当然ですよね。SunSDR2dxがJAにも入りだしたんですね。
[2020.9.15]20個追加作成 [2020.10.1] 20個追加作成 [2020.10.25]20個追加作成 [2020.11.20]25個追加作成
[2020.12.5]24個追加作成 [2021.1.21] 20個追加作成 [2021.1.26] 20個追加作成[2021.2.1] 33個追加作成
[2021.2.7]VECTRONのOCXOを20個追加作成[2021.4.3]VECTRONのOCXO 20個追加作成
[2021.2.22]NDK24個追加作成[2021.3.11]NDK10個追加作成[2021.4.3]VECTRON20個追加作成
IC-9700 のUser多数から1.2GHzのFT8で周波数ドリフトなしになったと喜びのEmailが来ています。
IC-7610、7700、TS-890/990に接続するUserも増加中。周波数誤差0Hzとドリフトなしで安心だから?。
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[2021.3.29]DC12V電源版を新たに15個作りました。頒布はこちら ⇦⇦クリック
0.計画
[2018.4]OCXOの中古をeBayで安く売っていたので試しに購入。
まず、OCXO単品で精度を見てよければそのまま単品で使う。求める精度が得られなければGPS同期にする。
私が求める精度は、少なくとも50MHzで5Hz未満の 誤差=0.1ppm なら良いだろう。
ちなみに最近のRIGのスペックで周波数精度を見ると()内は50MHzでの誤差
Kenwood TS-990と890:0.1ppm(5Hz)、TS-590G,TS-590:0.5ppm(25Hz)
Icom IC-7800,7851,7700:0.05ppm(2.5Hz)、IC-7610,7300,9700:0.5ppm(25Hz)
IC-9700は、V,UHFで使うのに周波数精度±0.5ppm(435MHzで217.5Hz以内)は、ひどいですね。
1.2GHzだと600Hz以内の誤差!! 周波数精度、実際の周波数ドリフト共にひどすぎる。
Yaesu FT-5000(MP-Limited):0.05ppm(2.5Hz)、他の5000,3000:0.5ppm(25Hz)
SunSDR2proとMB1は、仕様を見ると0.5ppmになっています。入門機なみです。
さすがに各社のフラグシップ機は良いがOCXOを使っている事から安定するのに電源ONから
3~5分程度は待たないとON直後は数100Hzの誤差になっているでしょうね。
1.OCXOを入手して周波数精度の確認
入手したのは、5V電源、電圧で周波数の微調整端子を持つ、26mm角の物でNDKのENE3311
とCTIのOSC5A2B02←Chinaのメーカーみたいです。右がNDKのもの。性能は同等でした。
[2021.2]新たに追加したVECTRONのOCXO C4550A1です。NDKのENE3311と比較して見ましたが同等で
甲乙つけがたいです。Size、Pin配置も同じでSC-Cutのものです。スペックは次のURL https://www.vectron.com/products/ocxo/C4550.pdf
100均で買ってきたスマホ充電用のACアダプタで、電源5Vを供給し、周波数調整用端子(Fcont)には
10KΩのVRで分圧して供給した。実験はバラック状態で!!
倉庫からルビジュウム同期10MHz基準発振器と周波数カウンターを出してOCXOの周波数精度の測定開始。
電源ON時は500Hz程度のづれで2分ぐらい待つとOCXOの発振周波数が安定してくる。
VRで周波数を10.000000MHzに調整する。さらに10分ほど待って、0.1Hzの桁を0に合わせる。
電源5Vの消費電流は、電源ON時が500mAで安定すると300mA程度です。Fcontの電流は0.1uA。
この状態で、2昼夜の間で周波数の変動を見た結果は+-0.4Hz程度(0.04PPM)の変動範囲。
室温は、朝の7度~エアコンが効いて21度の範囲。
周囲温度の変化は当然として、商用電源電圧変動によるFcontの電圧変動も大きな変化要素と思われる。
この状態で、50MHzでは2Hz程度の誤差なので、各メーカーのフラグシップ機並みだ。
Fcontの電圧を安定化すれば、さらに安定し、十分に実用になると判断した。
2.基板の設計
OCXOの出力容量が不明なので、CMOS-GateをBufferとして追加。
Fcontの電圧安定化のためにTexasの基準電圧発生IC(出力4v)を追加した。回路図はこちら
この基準電圧発生ICを使うアイデアが最高の結果で、各社のフラグシップ機より1桁以上の高精度になった!!。
各Rigメーカーさん、マネをしても良いですよ(^o^) ただし事前に私の了解を得てください。
マネをすれば、Made in JAPANのHF機は周波数偏差とDriftが0Hz!!
追加作成分からは、VRの両側に5KΩと10KΩの抵抗を追加、周波数微調整の範囲を狭くしました。
[2020.12] VRを5KΩ、両側に10KΩ(または片側は5or15KΩ)の抵抗に再度変更しました。
(0~4Vの可変範囲は必要なかったので。これにより周波数の微調整が楽になりました)
3.基板に部品を実装して評価
Fcontの電圧を基準電圧IC(電圧安定度は1ppm)で安定化したので、期待して評価開始。
上が8桁の周波数カウンター、下がルビジュウム10MHz基準発振器、手前が作ったOCXO基板
出力波形を新しく買ったオシロで見た結果はこれです。-10dBm出力端子での波形です。
Sin波が欲しけれは共振回路またはLPFを追加すれば良いですね。
ただし、Rigの内部でPLLの基準信号として使うのであればSin波より矩形波の方が好ましいだろうと思います。
(Rigの回路図を見ないと確信はないですが)
お送りした殆どの方がこのまま接続して問題なく使っています。
問題の周波数安定度は、10MHzでの周波数変化は0.1Hz/1昼夜です。100Mhzで1Hz以内の誤差。 0.01ppm=10ppb !!
TS-990より一桁良い結果です(^o^)。
145MHzでも2Hz未満の周波数誤差!! トランシーバーの周波数精度としては十分ですね。
当初は、C/N悪化を覚悟のうえでGPS+PLL(GPSDO)でやらないとダメかなと思っていましたがこれでOKです。
GPS受信のジッターやロック外れの心配も全くなしで安心して使えます。
ルビジュウム同期の10MHz基準信号発振器を常時電源ONで使っている方も一部にいるが、とにかく電気を食うので持っていても、
私は常時ONで使う気がしなかったがこれで解決です。
安定するまでに要する時間は、電源ONから2分程度で10.000000MHzで安定します。3分後には0.1Hzの桁も全く動きません。
電源ONから3分経てば、1.2GHzでも実運用で周波数ドリフトなしと思って良いでしょう。
周波数の微調整をすると
精度0.002ppm(1GHzで2Hz誤差)以内まで追い込めます。(頒布物は作成時0.002ppm以内に調整済み)。
そこらの周波数カウンターより高精度・高安定度です。周波数カウンターの基準Clockとして使うのにも良いですね(^o^)
この周波数精度と周波数ドリフトなしだと、Ham用トランシーバーにはGPSDOなんて要らないですよね。
HF(1.8~50Mhz帯)のトランシーバーに接続すれば周波数誤差なし(0Hz)で気持ち良く使えます!!
4.実際にトランシーバーに供給するには
トランシーバーによって個々に入力条件が異なります。
ちなみにICOMのIC-7610では、入力インピーダンス50Ωでレベル(消費電力)が-10dBmと書かれています。
出力インピーダンス50Ωにして、インピーダンスとレベル合わせが必要になります。
-10dBm=0.1mW=0.0001W、電圧が約0.07v。この条件に合うように抵抗分圧で良いですね。
470Ωと51Ωで分圧して、0.001uFでDCのcutをして、IC-7610用に作りました。
写真の精度10bpmは、10ppbの印刷間違いです。
友人のIC-7610に接続してテストしてみました。IC-7610の受信周波数を10MHzにしても
漏れ、ケースからの筐体輻射もなく不感でした。OKです(^o^)
これを使えば、IC-7610、IC-9700など10MHz基準入力端子を持つトランシーバーの周波数精度が
フラグシップ機のIC-7851等より一桁以上良くなります。残念ながらIC-7300は入力端子を持っていない。
KenwoodのRigの入力は、取説に0 dBm ± 10 dBと書かれています。皆さんCMOS直接出力端子を使っているようです。
0.01uFで直流カットをして直列に470Ωの抵抗を入れるのが手頃かなと思います。
直接続だとBuffer-ICの出力容量(20mA)を超えるので注意
これ1個で、IC-9700,7610,TS-890の3台にでも使えますね。 IC-9700とIC-7700/7851等に使っている方もいます。
[注意]Rigに内蔵すると書いてきた方がいましたが、絶対にこのようなことはしないでください
Rig内蔵のOCXOで周波数の精度は別として、周波数ドリフトはRig内の温度がQSO等で上昇して冷却Fanが作動。
これにより内部の温度が急激に変化して追従できないのが要因と思います。
頒布した物は絶対にRigに内蔵しない、温度が急激に変化しない環境で使ってください。
↑↑↑この箱はタカチのYM-80です
私は、これをリモートシャック用のSun SDR2pro(CMOS-Level接続)に接続して使っています。
5V供給電源は常時ONで使うつもりでしたが約2分で安定するのでシャックのPC電源連動にしPCの5Vから供給です。
アマチュア無線用PCのWindows時計の校正は、GPS同期にしていますが、これも2分程度で引き込まれて安定します。
( GPS受信機を使いWindows時計の誤差を自動校正する ⇐記事はこちら)
5.SunSDR2proに接続して10MHzを受信して意外なことに気づきました
IC-7610に接続して10MHzを受信した時は不感でした。
ところが、SunSDR2proでは、SSB受信時でSが約4振っています。
ただし、取り外してInternalの設定でも同様にSが約4振っています。
この事からInternal/ExternalともSSB時で同等のSメーターの振れです。
スペアナの画面で見るとInternal設定では、周辺にNoiseがかなり乗っていますが
私が作った10MHz基準発振器は非常にきれいで、ウオーターフォールもきれいな1本線です。
信号の純度が全く違います。ノイズフロアーも幾分下がったように感じます。大成功!!やったね(^o^)
内部の基準発振(Internal設定)
私が作った10MHz基準発振器を接続して、External Rreference の設定
アマチュア無線の10MHzバンドは100KHz以上離れるので実用上は影響ないとは思います。
アンテナ端子終端時のNoiseフロアが-140dBm!! 内部雑音が恐ろしく小さいです。これなら超高感度も納得です。
6.頒布について
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[注意]この基板がいくら安定していてもトランシーバー内が急激な温度変化をした場合にPLLが追従できないことがあるようです。
IC-9700でこの基板を使っている友人の話では、トランシーバー裏にFanを増設して低速で常時回転にすると
解決するそうです。