微弱信号(JT-65、JT-9、FT-8 他)の環境を作りました

   微弱信号Mode(JT-65、JT-9、FT-8 他)の環境を作りました
                                    最終:2018.10.20
 毎年、夏枯れの時期に新たなModeの環境追加をしました。
2015年の2月にリモート運用でDXer復帰した当初はSSB中心の運用で、夏にCWの環境整備、
2016年の夏にRTTYの環境整備、2017年夏は微弱信号(JT-65、JT-9、FT-8 他)の環境整備を行いました。
2018年の夏にRigをTS-590GからSunSDR2proに更改、S/Nが非常に良くなり受信Decode局数が大幅増!!
記事は、最新状態に維持できていない場合があるので注意願います。

0.総通に変更申請(届)の提出
  新たなModeの追加で総通に持って行き、説明後にその場で届出受理になりました。
  私は、総通に2部を持って行き、1部に日付の受理印を押してもらいファイリングしています。
  指定事項の変更がなければ、すべてが届と思っている方がいますが大きな間違いです。
  無線従事者の選解任届のように明らかに届と明示されている物は届出ですが、
  設備変更など審査が必要なものは、申請か届出かは行政判断です。
  今回の新たなMode追加の場合などは、諸元が法令に適合しているか審査されます。
  審査の結果で問題がなく、変更検査が不要で届出受理が適当と判断されれば届出受理となる。
  届を出したから即日運用できると思っている方は、明らかな間違いです。
  Netで提出した場合は、審査中に運用すれば、法令違反になります。
   私が提出した諸元表はこちら。 興味がないSSTVとVoIPは含まれていません。
  
1.WSJT-XのInstallと設定
  Installと設定は 次のPageに記載 
  新しいFT8 DXpedition Modeは、このアプリしか持っていないのでWSJT-X(1.9.1)を
  Host-PCに入れて使っています。
  WSJT-Xは、FT8 DXpedition Mode専用にして通常ModeはJTDXを使っています。
 (1) FT8使ってみた結果
   2017年の夏にJT-65でStart、すぐにFT8に移行しまた。
   QSO数は、約半年で1,500、DXCCはあっという間に100を超えました。
   9月、10月は世界中が始めたばかりなので、CQを出せば休む間なくPM夕方から朝はEU,ASIA,AFから、昼は
   NA,SAから呼ばれ続きで1日に軽く100QSOを超える日が度々ありました。
   SSN0の伝搬??とびっくり!!。年末にはDXCCのBand-Newはほとんどなくなりました。
   微弱電波のModeとは言いながら送信出力は500W程度でやっています。
 (2) 使い勝手
   非常によくできていると思いました。
   機能で、New-Entityは色で解るがBand-Newの表示がないのが不満。
 (3) Loggingについて
   私が常用しているLoggingソフトは、Logger32です。
   Logger32にWSJT-Xで作られたADIFのFileを編集してマージしていましたが
   [2018.6] Logger32にUDPサーバーの機能が追加されたので自動転送に変更しました。  設定はこちら

2.JTDXのInstallと設定
  Installと設定は 次のPageに記載 
  (1) 使ってみた結果
   FT8 DXpedition Modeを使わなければ、こちらの方が使いやすい。
   New-EntityとBand-Newの色表示が個別に設定できる。
 (2) Loggingについて
   転送設定をして、Logger32と同時起動しておけば、自動的にLogger32にLogが追加され、
   ありがたいことに[Send LoTW QSL]にチェックも入っている。設定方法はこちら

3.運用上の注意
 (1) 受信してDecodeした結果のテキストファイルとWAVファイルの削除
   WSJT-X、JTDXともに受信し、Decode結果を次のテキストファイルにマージ(追記)していきます。
   手動で消さないと、ドンドン大きくなってDiskが一杯になってきます。
   実際に友人のPCで、C:ドライブがDisk-Fullの寸前で相談があり対処しました。削除方法は、次のどちらか
   1:[File]⇒[Erase ALL.TXT]をクリック
   2:[File]⇒[Open log ditectory]をクリックして開き、[ALL.TXT]ファイルを削除します。
     [save]フォルダーを開き[日付_時刻.wav]ファイルを削除します。すぐにGB単位になる。
      削除すると[ゴミ箱]に移動するので、[ゴミ箱]も空にします。
   Programを終了、再起動すれば空の新たな、[ALL.TXT]ファイルが作られるので心配無用。
    詳しい説明は次のPageに書きました。 http://ict-kuwa.net/ft8disk.html
 (2) PC(WSJT-X、JTDX)へのSound入力レベルの調整
   一般に、Sound入力レベルが高すぎてWater-fallの画面が真っ黄色になります。正常の紺に黄色線に
   なるようにProgramへのSound入力レベル調整が必要です。
   私は、PCのSound入力レベル調整を中間にして、Rig出力側で40~50dBの表示になるように調整しています。

4.PCとトランシーバー間の接続
 [2018.09.06] TS-590GをSunSDR2proに更改しました。ExpertSDR2の設定等はこちら
 (1) Soundの接続
   PCとTS-590Gの間を3つの系統で接続しています。
   ①Rig前面のMICとPhone  ②裏面のACC-Sound ③USB-Sound
   ①は受信音とSSB送信時のマイク ②はRTTYの受信でMMTTYにバインド
   ③を予備にしていたので、これにWSJT-XとJTDXをバインドした。
 (2) CATの接続について
    PCとTS-590Gの間を2つの系統で接続しています。
   ①裏面のUSB-Serial_  ②裏面のSerial_CAT(DSUB9)
   ①をRig-Control用にARCP-590Gにバインドしている
   ②は、Logger32にバインドとSPE-1.3KFAのBand-Tracking、アンテナ自動切替、SteppIRの
    SDA100に使っている。
    Logger32が周波数とMode情報要求をし、他は情報の受信だけで使っているのでTXDの
    コリジョンが発生しないので問題がなかった。
   ②にWSJT-X、JTDXを追加接続は、Port競合でできないので、VSPE64bitを購入して
    Install設定してみた。
    結果は完全に期待外れでした。VSPEのProgramで同時に複数のアプリが送信した時の
   コリジョン対策をしていると期待したが全くダメでした。
   これなら、2つのPortを物理的にWired-ORするのと同じです。がっかり!!
   暫定対策として、JT系ソフトのポーリングインターバルを最大の99秒に、Logger32のPolling intervalを
   1990mSに設定してコリジョンの発生確率を小さくする。これでも、30分~1時間に1回程度はTXD
   コリジョンのため、JT系ソフトでエラーはポップアップするが[Retry]をクリックすれば正常に戻り、運用が継続できる。
   VSPEをLogin時に自動起動する方法は、7.項に記載。
 (3) Logger32の一般的な設定
    解説はこちら

5.JTDXとWSJT-XからLogger32にLogを自動転送する
  [2017.8] JTDXは、UDPとTCP-Server。WSJT-Xは、UDP-Serverだけ。Logger32はTCPだけ。
  JTDXからLogger32にはTCP-Server設定をして、同時に起動しておけばQSO毎に自動で
  Logを自動転送する事ができたがWSJT-Xからは、NGでした。
  [2018.6] WSJT-XのVer1.9.1のRelease Noteを見るとN1MMへのLog転送機能が追加されていた。
  ひょっとして、Logger32でこの機能を使えないか調べているうちにLogger32が
  Version-upでUDP-Server機能が追加されている。やったね(^o^)
  これで、JTDXとWSJT-XからLogger32にLogを自動転送できるようになった。
  設定方法はこちら

6.PCのWindows時計をJSTに校正する
  [2018.10.20] PCのWindows時計をGPS自動同期に変更しました。¥4000程度の投資が必要ですがGood!!
         PC起動後、数秒で校正され誤差も10mS以内にに維持されています。
  微弱信号通信モードは、PCのWindows時計を正確に設定することが必須です。
  [2018.1019] までは、
  Free-Softを探した結果、「iネッ時計 NTPClient.exe」を使う。作者に感謝!!
  自動起動の設定方法は、7.項に記載。
  複数のNTP-Serverを使う必要はない=接続先をローテーションなし。誤差許容値は最小の200mSに設定すること。
  起動時に数回[開始]をクリックして誤差200mS以内を確認する。


7.Windows10でLogin時にProgramを自動起動する設定
  今回、PCに追加した内のシリアルポート複数接続の「VSPE」、PCの時計校正の「iネッ時計 NTPClient.exe」は
  PCにLoginした時に自動実行にしておけば、起動の都度に操作が不要になります。
  使う都度に実行するのは面倒なので設定されることを推奨します。 設定の説明はこちら
  受信して、他局の受信タイミングと500mS以上離れている場合は、再校正すること。
  [2018.10.20]Windows 時計の校正をGPS同期に変更したので、「iネッ時計 NTPClient.exe」は削除した。

8. JTDXとWSJT-XのLog共有
  JTDXとWSJT-Xの両方を使うと、LogのADIFファイルを個々に持つのでCallしたらB4の返事を返される
  ことになりそうです。私はLogの共通化は必須と思います。
  ハードリンクを設定して、JTDXとWSJT-XのLog共有をする記載Page

9.運用開始から8カ月の運用結果
  [2018.4] 約2000QSOを行った結果は、以下です。 DXCC-EntityはWorked100程度です。
  全てが広島から松江のリモート運用です。
  この2年半、常に呼ぶ側でしたが、呼ぶ/呼ばれるの比率が半々ぐらいです。
  1970年代の深夜に、EUからSSBでPileを受けていたのを懐かしく思い出しました(^o^)
 (1) JT-65とJT-9
   2017年夏からFT8に皆さんが推移し、2018年にはほとんど使われないModeになりました。
 (2) FT-8
   JTDXを主に、FT8 DXpedition ModeだけはWSJT-Xを使っています。
   15秒インターバルの送受信は結構早いですね。
   Spec通り、JT-65,JT-9と比較するとDecodeできるS/Nは10dB程度悪い結果です。
   500wで呼んでも応答率が50%程度です。田舎で、Noiseは少ない場所なのですが。
   ストレスを感じないのは、400~700w前後が必要でした。100Wでは、ほとんど呼ばれない、応答がないです。
   アンテナは、SteppIR4Ele+30mのDP、40mは4SQ、20m~6mは4Eleのフルサイズです。
   同じサブキャリア(Sound)周波数で同時に複数から呼ばれるとほとんどの場合Decodeできない。
 (3) LoTWのマッチング率が低い
   LoTWのマッチング率は、2017年は結構高かったのですがUserが増えるに従いマッチング率が下がってきました。
   特にJAは極めて低い。微弱信号Modeは、国外とのQSOチャンスが多いので未使用の方は
   登録してLogをUPしましょう。
 (4) 最近の状態
   2017年8月の開始当初は、JT-65,9が多かったのですが、WSJT-XのRC2が提供された頃からFT8への移行が急速に進みました。
   現在(2018.4)は、殆どの方がFT8に移行しました。JT-65,9の帯域は非常に空いています。
   RTTYはまだ健在ですが、HF帯のJT-65.9は既に過去のモードになったように感じます。
 (5) 運用方法習熟とマナーの向上が必須
  ①HF帯では、グリッドロケーションは不要だから送らず、短時間でQSOを終わらせる。
    呼ぶ側は、S/N付きでのCallとRR73の2回送信で終わる。
  ②絶対に奇数時間と偶数時間を間違えない。Callする相手の受信時間に送信する馬鹿が絶えない。
  ③他局との競合(衝突=コリジョン)防止のため原則SplitでCallする。
  ④PCのWindows時計を少なくとも200mS以内の誤差に調整してから運用を始めること。
  ⑤ALCが振れない変調レベルで送信すること。受信時のSoundレベルを最適に調整すること。
   リミティング・アンプ、スピーチ・プロセッサーの類は絶対にOFFにすること。Decodeできない。
  ⑥Low-bandの場合は、絶対にOFF-Bandしないように細心の注意が必要。
    7MHzは、FT8が7074、JT65が7076のUSBですが国内のSSBで使う人が多い。
    注意すると「法は守っている」と反発する。世界中が使う周波数だから十分な注意が必要。
    SSB(LSB)で7074~7082KHzでのSSB-QSOはやらないように注意、マナーを守りましょう。
  ⑦NA,EUからSAE(+GS)でQSL-Card請求が5通来ました。LoTWとqrz.comに登録することが必須。
 (6) 期待するVersion-up
   [2018.6] CW、英語がだめでDX通信を諦めていた人たちがマウスのクリックだけで
   DX通信が簡単にできるため急激にUserが増え、QRMの嵐になって非常に使いにくくなってきました。
   次のVirsion-upで、サブキャリアの周波数を強制的に60Hz間隔になるようにして欲しい。
   ただ、トランシーバーの周波数精度が0.1PPM程度は必要になるので、これに対応できるのは
   各社のフラグシップ機だけですね。
   IC-7300等の普及機の仕様では、0.5ppm=21MHz時に10.5Hzだから対応が無理だなー。。

10.WSJT-XとJTDXのCAT
 次は、RigをKenwood設定時のキャプチャー結果です。IF;を3回も送り、FA;と,MD;も送っています。
 IF;でModeも受け取れるので無用のはず。
 ちなみに、同時に起動しているLogger32は、IF;とFB;だけ。これで十分のはず。本来はIF;だけで十分のはず。太字が情報要求

—– JTDX —–
DIGU(DIGITAL-USB)時
IF;
IF0001407400000000+000000000090000000;
IF;
IF0001407400000000+000000000090000000;
IF;
IF0001407400000000+000000000090000000;
FA;
FA00014074000;
MD;
MD9;
SSB(USB)時
IF;
IF0001407400000000+000000000090000000;
IF;
IF0001415000000000+000000000020000000;
IF;
IF0001415000000000+000000000020000000;
FA;
FA00014150000;
MD;
MD2;
IF;
CW時
IF;
IF0001415000000000+000000000020000000;
IF;
IF0001401000000000+000000000070000000;
IF;
IF0001401000000000+000000000070000000;
FA;
FA00014010000;
MD;
MD3;


—– WSJT-X —–
DIGU(DIGITAL-USB)時
IF;
IF0001407400000000+000000000090000000;
IF;
IF0001407400000000+000000000090000000;
IF;
IF0001407400000000+000000000090000000;
FA;
FA00014074000;
MD;
MD9;
SSB(USB)時
IF;
IF0001407400000000+000000000090000000;
IF;
IF0001415000000000+000000000020000000;
IF;
IF0001415000000000+000000000020000000;
FA;
FA00014150000;
MD;
MD2;
CW時
IF;
IF0001415000000000+000000000020000000;
IF;
IF0001401000000000+000000000070000000;
IF;
IF0001401000000000+000000000070000000;
FA;
FA00014010000;
MD;
MD3;

ーーーーー Logger32 —–
IF;
IF0001407400000000+000000000090000000;
FB;
FB00014074000;