仮想シリアルポートのCATに複数アプリを接続する

  仮想シリアルポート(Vertual Serial Port)でCATに複数のアプリを接続する    最終:2020.1.6

トランシーバーのCATに複数のWindowsアプリを接続することは、OSの排他機能でできない。でも、複数のアプリを接続したい。
通常、CATに接続したいものに、Rig-Controlソフト、Digital-Modeのアプリ(JTDX、WSJT-X、MMTTY)、Loggingソフト等がある。
このPageでは、3種類の仮想シリアルポート・ユーティリティーの評価した結果を紹介します。

評価した3種類の仮想シリアルポート・ユーティリティーは、
 VSPE(Virtual Serial Ports Emulator) http://www.eterlogic.com/Products.VSPE.html
 DXLAB Launcher+Commander https://www.dxlabsuite.com/
 LPB2 http://www.telepostinc.com/LPB2.html
評価に使ったRigは、TS-590Gです。

1.VSPE(Virtual Serial Ports Emulator)
  VSPEの32Bit版はFree、64Bit版はシェアウエアで$24.95の有償です。$24.95を払い、64Bit版をDownloadして評価しました。
  VSPEのReal-PortにRigのCAT(232c)を接続。 Vertual Port側にPCアプリをバインドして見た結果は、
   CATの受信(RXD)は、各アプリが正常にCAT情報を受け取れる。
   CATの送信(TXD)は、複数アプリの接続設定はできるが、TXDのコリジョン(衝突)防止機能を持っていないため
    アプリ間のTXDがコリジョンになるとDate-Errorで通信できない。
    各アプリのPolling-Intervalをコリジョンを起こす確率が小さくなる設定にすれば、ある程度は使える場合がある。
  私が使っているSunSDR2pro+ExpertSDR2の場合は、全てのSerial-port間通信がPC内のプロレス間通信のため
  問題なく使えている。
  一般のトランシーバーの場合は、TXDのコリジョンを避けることができないので不適当と判断する。
2.DXLAB Launcher+Commander
  友人のJA4DNDからは、ICOMのCI-Vで、DXLAB Launcher+Commanderを問題なく使えていると聞いている。
  私は、TS-590GのCATに接続して評価した。VSPEのようにTXDのコリジョンの問題はないが、接続するアプリのRig設定で
  DX LabSuiteCommanderの設定がある物しか接続できない。
  他にもあるのだろうが、JTDXとWSJT-XはRig設定にDX LabSuiteCommanderを持っていて同時に起動しても問題なく動作した。
  これも、一部のPCアプリしか接続できない
3.LPB2
  これの動作は全て正常に動作した。接続したアプリは、JTDX、WSJT-X、Logger32の3アプリを同時接続で正常動作した。
   動作条件は、LPB2の起動時にRigのCAT-Portが立ち上がって接続できる状態にあること。
         LPB2の起動に要する時間が異常に長い(25秒~70秒程度)
         起動時間が長いわりにCPU負荷が軽い。(評価に使ったPCのCPUは、第6世代のi5-6500、3.20/TB3.6GHz)
   JTDX、WSJT-X、Logger32の3アプリ以外にRig-controlソフトのARCP-590g、Windows時計GPS同期のNMEATime等が動作中で、
    CPU使用率は、通常10%程度、Peekで30%程度なので全く問題なしです。Memoryは3.6GBで結構食っています。


JTDX、WSJT-X、Logger32の3アプリを同時接続で、ARCP-590の周波数、Modeに正常に追従しています。


LPB2v1.0.8の設定 起動時間が異常に長いのを気にしなければ十分に使えます!! Good!

(1) Rig Port
  RigのメーカーとCATのCom-Port番号、BoudRateを設定する
(2) RigのCAT-Portに自動接続
  Auto Connectに☑を入れる。
(3)Polling(ms)
  Polling-Intervalの設定です。動作確認は、全ての設定を1秒にして行いました。
(4) 起動後Minimize  Start Minimizedに☑を入れておけば、起動後はタスクバーに入れる。
(5) Rig Port Terminal
  Rigに送ったコマンドとRigからの応答情報が表示される
(6) Vertual Com PortA~E
  この5個の仮想シリアルポートに個々のアプリをバインドする。他との競合がなければ11~15のDefaultで良いでしょう
  Auto Createに☑を入れておけば、自動で該当Port番号がActiveになります。
  Auto Launchに☑を入れておけば、自動で右上に登録したアプリが起動する。
   上記の例で、Com13に接続するLogger32は、Auto Launchに☑を入れても起動エラーになるので☑を入れていない。
(7) 右上のVertual Port Application Pathsに起動するアプリのリンクを記入する
  LPB2が起動時に連れて起動してくれる。
  上記の例で、Rig-controlソフトのARCP-590gは、LPB2が起動時に連れて起動する設定にしているが、Com14には接続しないで
  USBで違うPortにRigに直接接続している。LPB2を起動のためだけに使っています。
(8) VPort1~Output Terminal #2
  各Portの通信状態監視用表示です。設定確認が終わったら無用になるので、上の[Setup]タブを開いて[Hide]の設定に変更する。
(9) その他の設定は、Defaultのままです

Rig内の基準周波数発振器(OCXO)やWindows時計のGPS同期でもONから2,3分かかるので、このLPB2は少なくとも2分以内には
起動終了になるので十分に使えるのではないでしょうか。
PCの電源ONで、PCの12vでRelayをたたいてRigの電源を自動でONにする。
Rig内の基準周波数発振器(OCXO)やWindows時計のGPS同期がONから2,3分で安定したら、自動起動設定にした
LPB2は、関連アプリを連れて起動が終了している。
Windowsアプリの起動時の自動起動設定例はこちら http://ict-kuwa.net/vspe.html
YaesuのRigは、KenwoodのRigと同様に使えると思いますがICOMのCI-Vは不明です。